2013年8月15日木曜日

アート購入の醍醐味

アートとの関わり方は「見る」から「買う」に変わることで、180度考え方が転換されるパラダイムシフトが起こる。

買うことによって初めてアートに積極的に関わることになるのである。

インテリアとして部屋を彩るアートの場合、それが目に慣れてくると買い換えたくなる。
しかも、部屋に飾ってマッチするとか、部屋が落ち着くという面ではインテリアを邪魔しない無難な作品を買うことになる。

しかしながら、アート収集の醍醐味は、アートをインテリアの要素の一つとして見ることではなく、こ
れまで見たこともないような面白いもの、創造性に富み、技術的にも秀でた作品を手にするというこ
とである。

見たこともない奇妙奇天烈な作品を先買いする人は歴史的な1ページを作る作家かもしれないとい
う期待感を持って作品を購入することが多い。

ロンドンで大手広告代理店を経営するチャールズ・サーチは英国を代表する現代アートのコレクションを所有している有名コレクターである。

サーチ・ギャラリーは、英国の現代アートに市場価値を付与し、アート・フェア等を通じて海外への普及を果たしたということで非常に尊敬に値する。

さらにチャールズ・サーチは、同時代のアメリカやドイツなどの若手の作品をロンドンに紹介し、若い作家・学生らに情報と刺激を与えただけでなく、当時ロンドンのゴールドスミス美術学校の学生であったダミアン・ハーストらの展覧会「フリーズ」展を開催しYBA(Young British Artists)として大きな影響を与えた。

そのダミアンハーストが、リーマンショックの翌日である2008年9月16日に、サザビーズのロンドンのオークションで自身の223作品を直販して、落札総額が1億1100万ポンド(約211億円)に達し、1人の芸術家の作品落札総額としては最高記録を樹立したことは記憶に新しい。

チャールズ・サーチは広告代理店を経営していただけあって、英国の現代アートのブームをある程度意図的に操作が可能だったのかもしれないが、やはりその先見の明と、若手育成による社会貢献に寄与できていることは結果として素晴らしいとしていいようがない。

さて、作家の価値が上がるかどうかは、ギャラリーの手腕によるところが大きい。どんなに才能があっても、世界を舞台に作品をプロモーションしなければ売れることないし、世間の目にその才能が試されることはない。

有能なギャラリストは、その作家を売るために「誰に見せるか、誰に批評してもらうか、誰に買ってもらうか」ということに最大限気をつかっており、それによって作家の価値が上がる術を知っているのである。

まだどの作品が将来的に資産的な価値が上がるのかが分からない場合は、どのギャラリーが取り扱っているかについて知ることも重要であろう。


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