このビジネスをやっていると当たり前のことが、一般の人には広く認識されていないことがある。
それが、「アートは資産である」 ということ。
株や投資信託といった金融資産や、不動産資産と同じように、アートは資産のひとつとして認識されてしかるべきなのに、ほとんどの人はそれを知らない。
アート業界以外の私の知り合いでは、ピカソやルノアールは資産的な価値があることは理解できても、現代アートに資産的な価値があることを知るものはほとんどいない。
つまり、現代アートを資産として持つ、ということを理解している富裕層は日本にはほとんどいないのである。
日本の美術教育が悪いわけではない。台湾や香港の富裕層が日本より高い美術教育を受けてきたわけではない。
ただ彼らは、情報として、アートが資産になるということを一般論として知っているだけだ。
しかも、まだ富裕層の一つ前段階のような若者が、アートを資産としてどんどん買っているのである。
日本においても、これまでアート市場を拡大させるために、様々な草の根活動が行われてきたが、全てはアートファン同士の小さな集まりにすぎず、それがブームになるほどまでには至っていない。
それは、アートは資産である、ということを言う人が誰もいないからである。
もちろん、アートにおいて全てが資産的な価値があるわけではない。
セカンダリーマーケットで値がついて初めて資産的な価値が生じるのであって、国内で「アートは資産だ」とよべるような作品はまだごくわずかだ。
しかしながら、アートを資産として世の中に認識してもらい、同時並行的にセカンダリーマーケットを作っていかないと、プライマリーのマーケットは育たないのは当たり前である。
まずは、「アートは資産である」ということを言い続ける。
そして、理解を深めてもらう。
そこから始めたい。
0 件のコメント:
コメントを投稿