2013年8月16日金曜日

アートを売買するということ

日本では、資産としてアート作品を売らずに持ち続けたままの人が多い。

作品を一切売ることなく、自分が亡くなるときにその財産が相続されるか、またはハーブ&ドロシーのように美術館にすべて寄贈するのかはさておき、資産家が美術館に寄贈することが一種のステイタスである欧米に比べて日本の場合、そういったものはない。

相続においても、時価評価され、とてつもない相続税を支払わされるというオチもありえるのだ。

そういった意味においては、アートを持ち続けるだけなく、売買することも重要なことである。
そもそも売買が発生しなければ、市場価値も見出せない。

さて、金融資産と比較すると、アートは長期的には値上りが高く期待できるが、短期的な売買には向かない資産である。

ある程度名の通った作家であれば、暴落するリスクは皆無に近く、安定した高値にてオークションハウスで取引されている。

従い、資産ポートフォリオの中の長期的に保有する財産としてアートを組み入れるというのは全体のバランスの中で効果的な資産形成を生むことができるのである。

作品を買ってすぐに転売するというのは投機的な意味合いがあり、そのようなコレクターは短期的な利益を得るためにオークションで意図的に価格を上げる操作をするといった危険性があると見られがちである。

プライマリーの販売価格とオークションの落札価格にあまりの差が出てしまうと、プライマリーの作品価格も需要に応じて作品を上げざるを得なくなる。そうなると、作品がそれまでのコレクター似売れなくなってしまうし、そのままオークション価格が上がり続ければよいのだが暴落してしまうと目もあてられない。

それゆえにプライマリー価格を安定させるためにコレクターにはなるべく作品を長く所有してもらいたいというのがギャラリー側の言い分である。
タグボートではプライマリー作品を購入後1年以内の転売を禁止しており、安心して売買できる環境を提供している。

セカンダリー市場の発展がプライマリー市場の活性化を生む。自動車の中古車市場がなければ新車を安心して買えないのと同じであり、アート市場もそこに安定的なセカンダリー市場があって初めてコレクターがプライマリー作品を購入できるのである。

しかし、国内では透明性のあるセカンダリー売買の取引のメインはオークションハウスであり、それ以外は言い値がまかり通るクローズドな世界で成り立っている。

クローズドな世界では、購入者にとって入手できる情報が少なすぎるがために、高い作品をつかまされてしまうという問題が発生する。
購入者と販売者の知識や情報の差が大きいと、知らないものが損をするという図式となり、現在の情報化社会においては考えられないような状況がある。

購入者は質の高い膨大な情報から自分にとって有用な情報をセレクトし、比較検討できるのが当たり前であり、そこに競争が働かないのは、市場が発展しない理由となっている。

ユニークピースは他に代替品がないことから正当な価格の比較はしにくいが、ある程度の目安をつけることができるはずである。


次に具体的にどのような作家の作品を買うと資産的なポートフォリオが安定するのかについて考えてみる。

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